中華料理 酢豚について

時をかける酢豚

中華料理を代表するメニューの一つであり、日本でも馴染み深い酢豚。
下味をつけて一度揚げた角切りの豚肉を、甘酢あんに絡めて野菜と炒めたオリジナリティのある一品です。

ところで酢豚というとなんだか中華っぽくないネーミングですよね。
実はこれ日本だけでの呼び方で、上海では糖醋肉塊、広東では咕咾肉という名前で親しまれています。

糖醋肉塊は甘酢の味付けの肉という意味になりますが、それでは咕咾肉とはどういう意味なんでしょうか?
咕咾肉は中国語では、長い年を経た肉料理といった意味になります。
非常に長い中華料理の歴史の中に、いつ登場したのかわからないくらい旧くからある料理ということでこの名前がついたそうです。
中国4000年の歴史と言いますが、酢豚もまたその壮大な文化の営みを象徴する料理の一つなのかもしれませんね。

酢豚にパイナップルのルーツ

さて、勘の良い方はお気づきかもしれません。
肯定派と否定派真っ二つにわかれて和解の兆しが見えない酢豚をめぐる抗争の火種となっている黄色いあいつ。
そう、パイナップルです。
それほど古い料理ならば南国原産のパイナップルがどうして酢豚に入っているんだとお思いになったのではないでしょうか。

実はこれ、かつてイギリス領であり、フランス租界の影響も受けたりと何かとヨーロッパと近かった上海で、当時欧州から入ってきたばかりの貴重なパイナップルを入れることで、外国人に対しても酢豚の高級感を打ち出そうとした試みによって生まれた組み合わせなんです。
イメージ戦略が発祥だったわけですが、実際にやってみると酸味の相乗効果で味が深まり、肉も柔らかくなるということで定番化したわけですね。

なんとなく酢豚にパイナップルは邪道派有利な論拠となる感じもしますが、アウトサイダーでありながら中華の伝統に爪痕を残すほど相性がいいのもまた事実。
まあ好きなように食べればいいですよね。

せろりや http://cuisine-around-the-world.com
ほとんど全ての料理にこだわり野菜を使用した創作中華、ベジタブルチャイニーズが人気の「せろりや」。
ズッキーニやバターナッツかぼちゃなど珍しい野菜の酢豚も中華に新風を巻き起こすかも!?

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